国籍と価値観

「在日特権」に関する素朴な疑問なのだがのコメント欄の続きです。

素朴な疑問さんwrote

seiryu95 さんあなたは一言で言えば極めてナイーブな方ですね(笑)。ひとつお聞きしたいのですが、日本の方なのにもかかわらずどうして在日コリアンの考えがわかるのでしょう(笑)?あなた自身の考えがコリアンの考えとは限りませんよ。

 それは、あなたの考えが同じ日本人の考えとは限らないのと同じことです。国籍が同じだろうと違おうと、他人の価値観を単純に推し量れないという点では変わりないのです。その質問を発した時点で自らの主張に疑問を感じてほしいです。

 実際に竹島日本海呼称問題で民潭が日本国内で韓国の主張を繰り広げていることをご存じない?在日朝鮮人の中にスパイが大勢いて、何人もの日本人を拉致していった事実をご存知でない?冗談でしょう?民潭は日本と韓国の渡し舟の役割を果たすどころか韓国の日本批判の急先鋒となって祖国に対し愛国心を懸命に示しているような行いを繰り返しています(そのように行動しなければならない彼ら移住者の境遇のせいもありますが)。

 私からみると、竹島の問題についてはどちらかといえば韓国側の方に理があるように見えます。他方、日本海呼称問題では日本の主張に理があると考えています。私が政治にコミットする際の基準はあくまでどちらに理があるかであって、日本国籍を有するから日本側を支持するというような自分の理性を侮辱するような行動をとる気にはなりません。
 日本国籍であってもあなたが考える「日本」の利害と対立する主張をすることはいくらでもあります。私は日本国籍を有していますが、あなたが考える「日本」の利益に反する主張をしています。あなたはそれを理由に非国民として選挙権を与えるなと主張されますか?

 

 上に述べたように選挙権を与えても中国韓国北朝鮮の意向に沿って行動するから問題なんですよw

 あなたが主張するように、北朝鮮のスパイとして活動していた人たちがいることは否定しません。しかし、それは北朝鮮国籍を有しているから必然的にそのような行動をとっているわけではありません。大多数の人たちは、そのような活動とは無関係ではないですか?一部の者の行為を全ての者の価値観を判断する基準にする行為の愚かさを私は指摘しているのです。


 戦争になればあなたは戦わないようですが、まあ普通の日本人なら攻め込まれれば戦いますよw9.11のアメリカ人やフォークランド紛争の時のイギリス人なんか見てもみな一丸となって立ち向かっていたでしょう?家族に危害が及べば戦うでしょう。友人に危害が及べば戦うでしょう。同様に共同体に危害が及べば共同体の人間は戦わなければならないのですよ。あなたは友人達を見捨てるんですか?


 友人の生命に危機が迫っているのであれば、当然助けようとするでしょう。しかし、その方法が、日本のために戦うとは限らないのですよ。第二次世界大戦時のイタリアでは、連合軍との戦争継続中に反乱が起きムッソリーニ政権を打倒しました。911の当時のアメリカでもそれまでのアメリカの行動を非難し、軍事行動を止めようとする人たちは存在しました。国籍を同じくしているから、有事の際に右向け右となるとは限らないのです。私も、そのときの日本の状況によって同様の行動をとることによって友人を救おうとするかもしれません。
 

 話はそれましたが、もし台湾有事が勃発すれば在日華僑は日本のために行動しますか?竹島紛争が起きた場合在日韓国人は日本のために行動しますか?北朝鮮が核ミサイルを発射してきた時在日朝鮮人が日本のために行動しますか?答えは否でしょうwそれは彼らが異なる共同体の住人だからです。

 そこで、「答えは否でしょう」といいきってしまう単純さこそが批判の対象となっているのです。

 もっと具体的にいいましょう。身近な在日韓国人にサッカーの日韓戦で日本と韓国どちらを応援するか尋ねてみてください。99%「韓国」と答えるはずです。韓国籍を持つからには当然の答えですが、つまりそういうことなのです、彼らは日本という共同体に所属せず韓国という共同体に所属している。

 スポーツでどこを応援するかは、その人の好きずきですし、そんなことは参政権の有無を考える上で意味はありません。私は名古屋出身で熱狂的な中日ファンですが、巨人ファンなど名古屋市民ではないという気は毛頭ありません。逆に、私が大阪府民になったとしても阪神ファンになることは絶対ないでしょう。在日韓国朝鮮人がサッカーでどこを応援しようと、彼らが日本社会の構成員であり、利害を共有するものであることに変わりはないのです。

 ある共同体に属しながらほかの共同体の意思決定に参加する―そんな馬鹿な話はありませんし、自分の共同体の利益よりもほかの共同体の利益のために行動するはずもない。「帰化」すれば少なくとも元の共同体には属しません。それぐらいしないと選挙に参加できないのです。納税したぐらいで選挙権が得られるはずもないのです。繰り返しになりますが、在日外国人、特に在日コリアンは「国籍」を軽く考えすぎていると思いますね。
最後に、あなたは定住外国人も含めて守りたいといいますが、その定住外国人が日本という共同体を守る意思を持たないことがこの問題の根本にあるのだと個人的には思っています。

 ここでも、あなたの「共同体」の理解が単純化されていることが窺えます。「共同体」というものは決して単一なものでもないし、排他的なものでもありません。私を例にしていえば、現在三重県に在住し、三重県民という共同体に属していることと、名古屋出身者として名古屋人の共同体に属していることには何ら矛盾はありません。
 また、帰化をすれば、元の共同体には属していないというあなたの主張こそ、ナイーブに過ぎるのではないですか。日本国籍の取得によってその人の価値観が変わるわけでも、その人の主観において所属する共同体が変わるわけでもありません。日本に長期間暮らしていれば、日本社会という共同体の一員になっているし、他方、旧国籍国についてのアイデンティティ日本国籍を取得したからといってなくなるものではありません。それらは矛盾するものではなく、重層的に併存するものです。